ITフリーランスが独立したら、多くの場合、クライアントと業務委託契約を結んで仕事を受注することになります。業務委託契約とは、民法上の委任契約の一種で、仕事の際に締結する雇用契約や請負契約とは異なるので、ITフリーランスはその業務委託契約の特徴を知っておかなければなりません。
業務委託契約は、契約者のどちらからでも自分の都合で解約できます。ただし、発注者から解約する場合、受注者が仕事に取りかかっていたら、たとえ途中でもそれまでに費やした労力に対して対価を支払わなければならないとされています。つまり、アプリ作成やシステム構築といった発注業務が完成しなくても、クライアントの都合で解約されたら、フリーランスは報酬を受け取る権利があるのです。
逆に、フリーランスから契約を解除した場合、発注者に損害が生じれば、フリーランスが損害賠償責任を負うことになります。フリーランスは特にこの点に注意して業務委託契約を締結しなければなりません。また、業務委託契約の場合、雇用関係が生じないため、フリーランスが受注した仕事に関する業務で事故に遭っても労災保険が適用される余地がないのです。
それから、業務委託契約は請負契約と同様に、完成品を納品して初めて報酬を得られることから、完成度について明確な合意が必要です。曖昧な打ち合わせのまま仕事に取りかかり、完成品を納品しても発注者からダメ出しされるというケースも少なくありません。業務委託契約の締結時には、綿密な打ち合わせをして完成品の内容について意見の一致を得られるよう努めましょう。